【遺留分】公正証書遺言に対する請求を任意交渉で解決した事例
ご依頼前の状況
依頼者は、ご親族(被相続人)がお亡くなりになった後、被相続人が生前に作成された公正証書遺言が存在することを知り、その内容をご確認されたところ、被相続人の財産(不動産を含む諸財産)の大部分が、依頼者以外のご親族(以下「相手方」といいます。)に相続させる旨の内容となっており、依頼者は被相続人から相続を受ける財産がほとんどないという内容でした。
依頼者は、同遺言の内容はご自身の遺留分を著しく下回るものであり、納得することが難しい状況でいらっしゃいました。他方で、依頼者は相手方らとの直接の交渉によりかえって紛争が拡大することを強く懸念されていました。
そのため、ご親族間の関係性にも一定の配慮をしつつ、ご自身の正当な権利を法的に実現したいとのご意向で、当事務所にご相談・ご依頼をいただきました。
ご依頼内容
- 公正証書遺言の内容の精査及び遺留分侵害額の試算
- 相手方又はその代理人との間の任意交渉
- 遺留分侵害額の取得に伴う相続税の負担に関する協議
- 相続をめぐる紛争全般の終結に向けた手続全般のサポート
弁護士の対応と結果
当事務所では、まず、被相続人の公正証書遺言の内容を精査し、依頼者の遺留分に対する侵害の有無及び金額を試算いたしました。
そのうえで、遺留分義務者(本件遺言の受遺者)である相手方に対し、依頼者を代理して、遺留分侵害額請求権を行使する旨の意思表示を行いました。
その後、相手方又はその代理人との間で、書面のやり取り及び協議を重ね、本件公正証書遺言が依頼者の遺留分を侵害していることの確認、遺留分侵害額相当額の支払金額、支払期限及び支払方法、依頼者の負担となる相続税の取扱いについて、丁寧に交渉を進めました。
その結果、調停手続や訴訟手続を経ることなく、当事者間の合意書の作成により本件相続をめぐる紛争を解決することができました。
弁護士からのコメント
被相続人が、特定の相続人に対し、全部又は大部分の財産を相続させる旨の公正証書遺言を作成しているケースは、相続実務上、しばしば見受けられます。
このような場合であっても、子・直系尊属・配偶者などの法定相続人には、民法上、遺留分として一定割合の取得が保障されており、遺言の内容にかかわらず、遺留分義務者(受遺者・受贈者)に対し遺留分侵害額相当額の金銭の支払いを請求することができます。
もっとも、遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しなければ、時効によって消滅してしまいます。
そのため、遺言の内容を知った後は漫然と時間を経過させることなく、できる限り早期に、内容証明郵便等の確実な方法により権利行使の意思表示を行うことが極めて重要です。
また、遺留分侵害額相当額の金銭を取得することにより発生する相続税にも配慮した解決が必要になります。
ご親族間の関係性にも配慮しつつ、ご自身の正当な権利を確実に実現したいとお考えの場合には、感情的な対立が深まる前の段階で、弁護士を代理人として立てたうえで、内容証明郵便による意思表示と任意交渉により解決を図ることをお勧めいたします。
本件のように、訴訟・調停を経ずに合意書の作成のみによって早期かつ円満に相応の金額での解決を実現できるケースも少なくありません。

